南果歩さんから妹たちへ――。  
50代は自分を愛するレッスンを!  ②

50代は、まず「自分」を幸せにすること――。
そのために“小さな好き”を積み重ねて

私は、「自分のことを好きになるために何をするべきか――?」そんなふうによく考えます。
そして、その答えが、「自分が好きなことを好きと言うこと」。
例えば、「何が飲みたい?」って聞かれた時に、右に倣で「私もコーヒー」と言っていませんか?
そんな時は、「紅茶」でも「アイスコーヒー」でも、自分が好きなものをお願いすればいい。
「何でもいい」という答えが一番良くないですね。
自分の個性を潰しているのと同じだから。
そう、まずは自分。自分が「好き」と思うものをちゃんと言葉にして、好きなものを
増やしていくこと。

「ゆっくり時間をかけて自信とワクワクする気持ちがなくなっていく……。
一体どこへ置いてきたんだろう?」これは、私が主演した映画『ルール・オブ・リビング~“わたし”の生き方・再起動~』の中の美久子さんの言葉です。
実際、そんなふうに思う50代女性も多いと聞きます。
本当は、“自信”とか“ワクワク”って、大人の女性が生きていくために
最も必要なキーワードなのに……。
きっと、いつの間にか角を削られ、世の中に適応するように作られちゃうのかもしれません。
そして、気がついたときには「皆と同じものでいいです」っていう答えになってしまう。

私の50代は、子育て卒業に、離婚、そして病気……、困難のてんこ盛り。
そんな一つ一つを、乗り越えてきました。50代は色々なことがあったからこそ、
まずは自分が幸せに――、今、そう思います。

家族のため、子供のため……、誰かのために時間を作り何かをするというのは、
人としてものすごくやりがいがあることだとは思います。
それに、日本の女性は、自分のために何かすることに罪悪感を持ちがち。
でも、まずは自分で自分を幸せにすることが第1優先、一番大切なことです。
自分が幸せでなかったら、周りの人をハッピーにはできないから。
私自身、ずっと自分をないがしろにしてきた事実に、50代になってやっと気づきました。
色々な人のために費やした時間は決して無駄じゃないし、自分自身も得るものがあったことは、
確かです。

でも、50代になったら、「自分のことを忘れていませんか――?」
そう自身に問いかけてみてください。
一番大事なのは、自分の人生を自分で選択する、ということ。
「選び取る」ことは、誰でもなく自身で責任を負うこととイコールだから、すごく大変。
でも、それが「自分の人生を生きる」ということに結びつくのだと思います。
明日から、自分が食べたいもの、飲みたいもの、着たいもの、心地いいもの、
それを積み重ねてみてください。
人生って、“小さな好き”の積み重ねで出来るのだと思うから。
そうして“自分の好き”を積み上げていくうちに、本当の自分になれるはず。

私は、好きなことを続けていたら、その先に必ずやりたいことと出会えるって信じているんです。そして、来年は映画のプロデュースに参加する予定。
こんなふうにずっと夢が見られるのも、50代のレッスンがあったからこそ。
50代に怠けると、60代は大変。焦らないためにも、明日から自身を愛するレッスンをね!

Kaho Minami

1964年兵庫県尼崎市生まれ。大学在学中にオーディションで映画「伽椰子のために」のヒロイン役に抜擢され女優デビュー。NHK連続テレビドラマ小説「梅ちゃん先生」、NHK大河ドラマ「麒麟がくる」「定年女子」などに出演。子どもたちへの絵本の読み聞かせがライフワークで、東日本大震災、地震能登半島地震などの被災地にも出向き、ボランティアで読み聞かせを行っている。今秋は舞台「ハハキのアミュレット」が控える。

『ルール・オブ・リビング~“わたし”の生き方・再起動~』

出演:南 果歩、グレッグ・デール、椎名桔平、河北麻友子、すみれ
監督・脚本:グレッグ・デール

東京で暮らす49歳のキャリアウーマン美久子のもとに、ある日突然アメリカ人バックパッカーのヴィンセントが現れる。娘の紹介で始まった、価値観も文化もまるで違う“3ヵ月間のルームシェア”。
ふたりは言葉も通じず、生活の感覚もすれ違うなかで、美久子は共に暮らすための4つのルールを決める。最初は戸惑いと衝突ばかり。幼馴染で東大卒の有能なビジネスマン光一付き合うものの再婚には未だ踏み切れずにいる美久子は、誠実で安定した彼との未来か、心の奥で静かに芽生えはじめた感情か、“ルール通り”に生きてきた彼女は、初めて、“心で選ぶ人生”と向き合うことになる……。「ルール・オブ・リビング」 ―― それは暮らしのルールであり、生き方のルール。異文化のギャップが、自分自身の声に気づかせてくれたとき、美久子は新しい一歩を踏み出す勇気を見つけていく……。
9月19日より新宿ピカデリーほかにて全国公開

撮影/田頭拓人 ヘアメーク/黒田啓蔵(K スリー) スタイリスト/坂本久仁子 取材・構成/河合由樹

 

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