
「立場」や「肩書」の枠に封じこめているのは
実は、社会じゃなく、自分自身……!?
私が今回演じた美久子さんは、49歳。
海外で仕事をする娘としっくりいかず、会社でも後輩に顎で使われ、親の介護もあって……。
それに、女性としてもまだ現役で付き合う男性はいるものの、再婚には踏み出せない、
そんな微妙な環境にいます。
49歳は、様々に環境が変化する年齢ではあるけれど、概して日本の社会は
「あなたはこういう立場」「あなたはこういう肩書き」「あなたはこういうポジション」
って、決めたがりますよね。
そんな社会構造がまず問題ではあるのですが、実は、そんなカテゴリーの中に
自分自身も居ようとしてしまう……、そんな記憶ありませんか?
自身の立ち位置って、社会からの一方通行のものじゃなく、社会と自身、双方の了解の
もとで決まるものだと思うんです。

というのも、先日ニューヨークを訪れ、スクールで語学の勉強を1ヶ月ほどしたのですが、
その際、クラスメイトから一度も年齢を聞かれなかったんですね。
最後の最後に、ポーランド人のお友達とお茶を飲んでいる時に、
「ところでKahoは幾つだったの?」と、聞かれて。
「あなたは、幾つなの?」と聞き返してみたら、「私は40歳」って言うんです。
私、絶対同世代だと思っていたので、ビックリしちゃって。
ヨーロッパの女性だからすごく大人っぽくて、
「Kahoは私よりちょっと下だよね?」っていうので、もう大笑いして。
でも、そのぐらい年齢にとらわれず生きているっていう証拠なんですよね。
年齢で友達になるわけじゃなく、「なんとなくたたずまいが素敵だな」とか、
「朗らかだな」とか、それぞれが持つ感覚なんです。
ポーランド人の彼女とは、実際の年齢を聞いてお互いびっくりしたけれど、
「でも、友達だよね!」って(笑)。

一方で、日本の社会はどこに行っても、年齢をはじめとする“暗黙のルール”で縛られてしまう。日本人は、そんな縛りに慣れてしまっていることもあるでしょう。
もしかしたら、そんなカテゴリーで区切られることに、安心感があるのかもしれません。
でも、よくサッカー選手が、「個の力を発揮する」って言いますよね。
世の中はチームで出来ていて、その中で自分の役割に責任を持つべきだけれど、それでもやっぱり、一個人として生きる私たちにとっては、個々のあり方が一番大事なんだと思うんです。
個々を大事にしたうえで、自分の役割を担う――。
だから、世の中のルールに縛られるということが、最も自分の芽を摘んでしまう気がして……。
世の中を根こそぎ変えるのは難しいから、一人一人、個人から変わっていこう――
妹世代の40代、50代の皆さん、それを私たちの「ルール・オブ・リビング」にしませんか?
ワンピース¥49,500(グリードインターナショナル)ネックレス¥166,100、イヤカフ[左耳耳たぶ側から]¥91,300、¥93,500[右耳]¥88,000リング¥200,200(すべてヒロタカ(ヒロタカ /表参道ヒルズ)シューズ(スタイリスト私物) *お問合せ先 グリードインターナショナル info@greed.co.jp ヒロタカ 表参道ヒルズ ☎ 03-3478-1830
| Kaho Minami
1964年兵庫県尼崎市生まれ。大学在学中にオーディションで映画「伽椰子のために」のヒロイン役に抜擢され女優デビュー。NHK連続テレビドラマ小説「梅ちゃん先生」、NHK大河ドラマ「麒麟がくる」「定年女子」などに出演。子どもたちへの絵本の読み聞かせがライフワークで、東日本大震災、熊本地震、能登半島地震などの被災地にも出向き、ボランティアで読み聞かせを行っている。今秋は舞台「ハハキのアミュレット」が控える。 |

『ルール・オブ・リビング~“わたし”の生き方・再起動~』
出演:南 果歩、グレッグ・デール、椎名桔平、河北麻友子、すみれ
監督・脚本:グレッグ・デール
東京で暮らす49歳のキャリアウーマン美久子のもとに、ある日突然アメリカ人バックパッカーのヴィンセントが現れる。娘の紹介で始まった、価値観も文化もまるで違う“3ヵ月間のルームシェア”。
ふたりは言葉も通じず、生活の感覚もすれ違うなかで、美久子は共に暮らすための4つのルールを決める。最初は戸惑いと衝突ばかり。幼馴染で東大卒の有能なビジネスマン光一付き合うものの再婚には未だ踏み切れずにいる美久子は、誠実で安定した彼との未来か、心の奥で静かに芽生えはじめた感情か、“ルール通り”に生きてきた彼女は、初めて、“心で選ぶ人生”と向き合うことになる……。「ルール・オブ・リビング」 ―― それは暮らしのルールであり、生き方のルール。異文化のギャップが、自分自身の声に気づかせてくれたとき、美久子は新しい一歩を踏み出す勇気を見つけていく……。
9月19日より新宿ピカデリーほかにて全国公開
撮影/田頭拓人 ヘアメーク/黒田啓蔵(K スリー) スタイリスト/坂本久仁子 取材・構成/河合由樹